メギ科の比較形態学的研究 : III トキワイカリソウとアメリカイカリソウの花の形態
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本報では,イカリソウ属,アメリカイカリソウ属の主として花における維管束走向を調べた。花の各器官は,イカリソウ属では十字対生に,アメリカイカリソウ属では3数性の輪生配列をしているが,両属とも花被は3つのグループすなわち,外がく片,内がく片,花弁に分けることができる。内がく片と花弁は,その成長が遅れる。花床での維管束走向は両属でほぼ同じであった。外側の花被片では跡が1管束性で,内側の花被片,雄〓では跡が2管束性になる傾向がある。イカリソウ属では3管束性の跡も観察される。雌〓の維管束走向も両属でほとんど差はなく,2つのシステムからなっている。1つは背管束で,これは雌〓が果実となって裂けた時の一方の裂片に相当する部分を走る。もう一方は裂開した果実の種子をつける裂片に相当する部分を走る。これは主に腹管束,胚珠管束から成る。これらの結果をメギ属,ヒイラギナンテン属,トガクシソウ属の場合と比較してみると,トガクシソウ属では花床で維管束が2重構造になるということを除くと,同様の傾向を示していると言える。雌〓についても,メギ属,ヒイラギナンテン属,トガクシソウ属では漿果になり,イカリソウ属,アメリカイカリソウ属では袋果になるが,維管束走向,その他の形質からして,これらは基本的に同じ構造をしていると考えられる。
- 日本植物分類学会の論文
- 1979-12-20
著者
関連論文
- メギ科の実生の形態について
- メギ科の比較形態学的研究 : VIサンカヨウ属,ポドフィルム属およびミヤオソウ属の花の形態
- メギ科の分類体系について
- メギ科の比較形態学的研究 : III トキワイカリソウとアメリカイカリソウの花の形態
- メギ科の比較形態学的研究 : II ヒイラギナンテンとメギの花の形態
- メギ科の比較形態学的研究 : I トガクシソウの花の形態