北海道産リンドウ屬植物
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概要
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リンドウ屬は約200種類を含む可成り大きな屬であり,アフリカを除き殆ど全世界に分布している.日本からは約17種類知られて居り,ここで取扱った北海道産のものは9種類である.北海道と限った事は多少ローカルな嫌いは有るが亜屬や區(節)への分類は日本全體にものを含めても殆ど變わりは無い.頁数を少くする為出典は最小限に留めた.詳細は,原博士の"日本種子植物集覧1"によられたい.ホロムイリンドウとエゾオヤマリンドウは葉の型を除いては非常に性質が似て居り,エゾリンドウとの間の移行型等考慮に入れて,それぞれエゾリンドウの亜變種とした.花の色の濃いのや淡いのもあるが,特に區別する程の事はない.トウヤクリンドウ區ではGROSSHEIM氏が,ヨコヤマリンドウ列とトウヤクリンドウ列とに分けたのを亜區に昇格させた.大雪山はヨコヤマリンドウの日本に於ける唯一の産地である.クモイリンドウはトウヤクリンドウに非常に似て居り,極端型を比較すれば殆ど區別出来ぬが,集団として扱った場合花の大きさ,葉の厚さ,草丈等の違いで両者の間に一線を引き得るから變種として置くのがよい.チシマリンドウは五十嵐,渡邊両氏により後志國大平山から發見採集された.石狩低地帯以西では始めてである.ユウパリリンドウとオノエリンドウは非常に相似た種類である.前者は後者に比し花が大きく,萼裂片が著しく長く,子房が有柄であると云うのが武田博士が指摘した區別點であるが,ユウパリリンドウでも萼裂片が短くオノエリンドウに近いものもあり,子房も殆ど無柄のもの,完全に無柄のものが存在するので,オノエリンドウをユウパリリンドウの亜種として扱うことにした.
- 1956-06-30
著者
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豐國 秀夫
Biological Institute And Herbarium (shin) Faculty Of Liveral Arts Shinshu University
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豐國 秀夫
Institutum Botanicum, Ordinis Scientiae, Universitatis Hokkaidoensis
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