Calimeris amplexifolia Siebold & Zucc.の正体

概要

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キク科シオン属のシロヨメナ群は種類が多く, しばしば分類学上の混乱を招いてきた。そのためこの群ではシノニムリストが複雑である。Calimeris amplexifoliaは日本で採集された標本にもとづいてSiebold & Zuccariniが1846年に記載した種であるが, 1936年北村によってイナカギクAster semiamplexicaulisと同種とされて以来, そのシノニムとされてきた。しかし, シーボルトらが記載に用いたと考えられるライデン, ミュンヘンおよび牧野標本館の標本を調査した結果, これらの標本にはシオン属であるシロヨメナ, ノコンギクのほか, 別属のアキノキリンソウの3種が含まれていることが明らかになった。このうち, 原記載のC. amplexifoliaにもっともよく対応するのは葉の基部がやや丸みを帯び, 葉の下面にまばらな短毛がある標本である。これはシロヨメナと同定できるもので, シーボルトが採集したものと思われる。以上のことから, Calimeris amplexifoliaはシロヨメナと同種で, Aster ageratoides Turcz. var. ageratoidesのシノニムであると結論する。また, 原記載にはタイプの指定がされていないので, ここで改めてSiebold s.n. (M)をCalimeris amplexifolia Siebold & Zucc.のレクトタイプに指定する。
日本植物分類学会の論文
1997-08-30