中国雲南省東北部におけるシロヨメナ群の染色体数と形態的特徴
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概要
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中国雲南省東北部の昭通地区で採集されたシロヨメナ群(Aster ageratoides Complex)17個体の染色体数を観察した結果,2倍体が4個体,4倍体が7個体,8倍体が6個体であった(x=9).形態はいずれも互いによく似ており,中国植物誌の検索表(Lin and Chen,1985)によると,すべてA. ageratoides var. laticorymbusとなる。この変種は白い舌状花をもち,植物体全体に毛が少ないもので,日本のシロヨメナとよく似ている。Lin and Chen(1985)は日本のシロヨメナをA. ageratoides var. leiophyllusとし,頭花サイズがより小さいことでvar. ageratoidesおよびvar. laticorymbusと区別している。一方,var. ageratoidesとvar. laticorymbusは総苞片の形で区別され,前者の総苞片には縁毛と細鋸歯があり鈍頭で幅が広く,後者の総苞片は全縁,尖頭で幅が狭いとされているが,シロヨメナ群においてこれらの特徴は集団間や個体間での変異が大きく,分類の再検討が必要である。シロヨメナ群の2倍体は中国,日本,台湾,韓国と広い地域に出現することが明かとなったが,このことは2倍体の分布の拡大が倍数化に先立って起こったか同時進行的に起こった可能性を示唆している。
- 日本植物分類学会の論文
- 2000-02-28
著者
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副島 顕子
大阪府立大学総合科学部自然環境科学科
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副島 顕子
大阪府立大学総合科学部生命科学
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武 素功
中国科学院昆明植物研究所
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武 素功
中国科学院・昆明
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岩槻 邦男
立教大学理学部
-
岩槻 邦男
兵庫県立人と自然の博物館
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