沃化メチル注射による家兎のHypertriglyceridemia : 血漿FFA並びに脂肪組織のLipoprotein lipase活性とHypertriglyceridemiaとの関連
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概要
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体重3∼4kgのオスの家兎に沃化メチルを注射すると,48時間後に脂血が起ってくることがある.これ等の家兎について血清および肝の脂質,血漿のFFA post heparin plasmaのlypolytic activity,腎周囲の脂肪組織のlipoprotein lipaseの活性等を測定した. 沃化メチル注射兎群では対照群に比べて血清triglycerideは約14倍に,血漿FFAは約2倍に,肝のtriglycerideは約6倍に,また血糖値も有意に増加していた.しかし肝および血清のcholesterol含量および尿中VMA排泄量は対照群に比べて有意差はみられなかった.またpost heparin plasmaのlypolylie activityは有意に低下していなかったが,腎周囲の脂肪組織のlypoprotein lipaseの活性は有意に低下していた. これ等の結果から沃化メチル注射による家兎のhypertriglyceridemiaの発生にはつぎのような過程が考えられる.沃化メチルが間接に脂肪組織に作用してFFAの遊離を促進し,ために血漿が上昇し,その結果,肝に取込まれて脂肪肝を起す.肝で過剰に産生された.triglyceride(脂肪肝を形成する)は流血中に放出されてhyperglyceridemiaになる.さらに脂肪組織におけるlypoprotein lipaseの活性の減少は,血中からのtriglycerideの取り込みを阻害しhypertriglyceridemiaに促進的にはたらくのではなかろうか.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1970-01-20
著者
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