沃化メチル注射による家兎のHypertriglyceridemia注射後の血清トリグリセライドの時間的推移
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概要
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前報では,沃化メチル注射48時間後に採血した血清がにごった家兎の脂質代謝異常について報告した.本実験では注射後何時間でtriglyceridemiaがあらわれるかを追求するため注射後4,8,12時間に採血した血漿トリグリセライド(TG)の濃度を血漿遊離脂肪酸(FFA)および肝,腎のTGの推移と関連して観察した. 3∼4kgのオスの家兎に51mg/kgの沃化メチルを1回皮下注射した.家兎は注射から絶食させ,注射後の採血の時点では20時間から40時間の絶食の状態にあった. 注射後,血漿のFFAは増加するがほぼ同じ時間空腹にした対照群でも同様に増加しているので注射の影響とはいいきれない.注射後4,8,12時間の血漿TGはいずれも増加したが,大きなバラツキのため注射前の値に対して有意の増加を示したのは12時間値だけである. 肝のTGは注射後4時間ですでに有意に増加した. 腎のTGは注射後8時間で前値に比べて平均6倍の増加を示したが,バラツキの大きいため,有意差は証明されなかった.腎周囲の脂肪組織のFFA含有量,血糖も注射後大きな変動はみられなかった. 注射後4,8,12時間の血漿FFA,血漿TG,肝あるいは腎TGの相互間の相関係数を求めると時間の経過に伴って正の相間係数は大きくなり,12時間値では正の相関係数が成立しているか,それに近い値を示している. 以上のことを綜合すると,注射後12時間でtriglyceridemiaを起して来るのではないかと推定される.
- 社団法人日本産業衛生学会の論文
- 1970-10-20
著者
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