合理的エージェントによる共同プランスキーマ (<特集> マルチエージェントと協調計算)
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概要
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マルチエージェントシステムにおいては,単一エージェントでは達成不可能な目標や組織的タスクを達成するために,複数のエージェントが協調してプランを生成し,実行することが重要である.しかしながら,そのシステムでは,各エージェントの生成・消滅は動的である,また各エージェントの世界に関する知識や技能が部分的である,そしてエージェント間の信念が不整合な場合がある,などの理由により,複数エージェントによる共同を動的かつ整合的に行なうことは一般に困難な作業となる.本稿では,このような部分性,および相互に不整合な信念を有する可能性のある複数エージェントが,機会に応じて共同の可能性を推定し,整合的に共同プランを生成する共同プランスキーマについて提案する. まず,共同プランスキーマでは,エージェント相互に不確定な情報の下でも不必要な通信を行なわずに,効率の良い,そして適切な共同プランを生成するために,各エージェントが合理的選択基準を持つことを前提とする.合理性を仮定することは,各エージェントに対して自己の行為に対する選択基準を与えるだけでなく,共同における他のエージェントの行為選択に関する良い予測を与える.このような合理性に基づいて,共同プランスキーマは次のように述べられる. 共同プランスキーマでは,まず,共通の目標に対して複数のエージェントが最良の個別プランを生成する.これらの個別プランに基づいて,どのエージェントが共同すれば目標を達成できるかを決定する.次に,共同する各エージェントは,最初に求めた個別プランの中で,自分がどの行為を実行するべきかを決定する.この場合,他の共同エージェントとの依存関係を考慮し,共同する上での障害が最小となるように行為を選択する.さらに,各エージェントは共同から得る効用が均等化されるように行為を選択する. 本稿では,共同プランスキーマの概要を述べた後に,その定式化を行なう.上述の共同における各エージェントの合理的行為選択に関して,効用に基づいた1つのモデルを提案し,それの性質について考察する.
- 日本ソフトウェア科学会の論文
- 1995-01-17
著者
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