対話行為における知的行為者の計算モデル (<特集>自然言語処理の新しいパラダイム)
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概要
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人間と協調的な対話を行う,知的な行為者の内部の計算モデルを提案する.このモデルでは,状況に関する行為者の信念をタイプを用いて表現する.対話相手の信念および意図は,状況意味論と同様に,生態学的実在論の立場から間接分類することで状況内の事実と同様に取り扱う.そして,自己の信念に関する信念を効率良く処理するために,「自己参照型知識表現構造」を用いる.この知識表現構造では,行為者は自分自身の信念を内省(観察)することができるので,自分自身の信念に関する信念はもはや明示的に表現しない.このことにより,自分の信念に関する信念をも含めた信念の管理が容易に行える.推論は,その時に分かっている状況に関する部分情報(信念)から推論できることを漸増的に推論していき,その過程でさまざまな意図を生成する.行為者は,このようにして生成された意図に基づいて行動することで,状況に即した適切な行動をとる.また,信念管理および漸増的推論によって,状況の変化に対して柔軟で効率の良い推論を行うことができる.最後に,この枠組みを用いて対話行為を遂行することが可能なことを示す.
- 一般社団法人日本ソフトウェア科学会の論文
- 1989-10-16
著者
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