コンクリーションおよび関連物中にみられる薄層組織の成因 (II) : 過程, 機構, 能因
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(1)薄層組織の形態の系統的変化を図式で示した(図1).(2)物質粒子集塊の成因について,今世紀の初め頃は,組織的関連,形成順序,原始状態,周期性発現の必然性などの視点に基き見解が交錯した.その背景にはイオン・原子・分子系とコロイド分散系の挙動の問題があるとみて,この全体像を図式で示した(図2).この像について,結晶化と,粒子集合の実態と変遷を,固形微粒子集合体形成の「先駆体」,「胚種」,「単元」ならびに「球粒」という視点より解説した.これらの基礎的事項に加えて,入手し得た確実な実験,観察データ(筆者自身のものは主として鉱物,結石関係)を考慮して,次のような考えを述べた,(2-1)物質粒子集塊の成因は,(a)直接結晶化と(b)集積再組織化(歴史的にコロイド源とされている場合はこれにあたる)とに大別できる.(2-2)球状に形の整った集塊-球粒体の成因も上記と同様である.球晶は主として(a)によってできた球粒である.(2-3)一つの集塊,球粒が,(a)と(b)の合作の結果でき上っている場合がある.このとき各成因でできた部分は,異った領域に分かれている傾向があり,薄層組織の層分布と密接に関係している.たとえば,二単位繰り返しの例では,一対の単位層の各層である.(2-4)Rogers)のコロフォームは,(b)によってできた球粒を意味していて,球粒には(a)によってできた球晶もある.Roedderの論文は,取り扱ったコロフォームが,(a)によってできた球晶であることを意味している.もしすべてのコロフォームが球晶であるという趣旨であるならば(この点原文の論調では不明)行き過ぎである.(3)(a)と(b)の成因の相違が,いかなる標識の違いによって微細組織の上に現われるか,という根本問題は未解決である.これについては,実験とともに,近代機器による微粒子表面,接合面,集合体の表面の"nano texture"の観察,分析,解析に期待できる.この意味で,この問題は,一世紀を経る古い問題でありながら,今日なお全く新らしい面を持っている.(4)物質粒子集合の問題は,古くRinneが提示したLeptologie-Feinbaulehreの一課題である.またそこに微粒子集合体の形と微組織にみられる不連続性と周期性の究極の成因という趣意があるならば,それは筆者が持ち続けてきたfancyである.しかし本編ならびにその姉妹編の内容は、その回想録に過ぎない.稿を終えるにあたって、今後の発展を期待する.
- 1997-03-31
著者
関連論文
- コンクリーションおよび関連物中にみられる薄層組織の成因 (I) : 総論, 研究動向
- 水熱条件下での角閃石から雲母およびモンモリロナイト
- コンクリーションおよび関連物中にみられる薄層組織の成因 (II) : 過程, 機構, 能因
- 粒径効果の研究史
- 祝辞
- 祝辞
- S. W. Bailey 教授を偲ぶ
- ミセルおよび関連問題の研究史
- FULLER'S EARTH : A History of Calcium Montmorillonite., R.H.S.Robertson, 1986,Voltura Press, Hythe, Kent, UK 420PP.
- 有泉昌先生の逝去を悼む
- 粘土鉱物
- 地球科学における粘土の意義(第25回記念粘土科学討論会特別講演集)
- 総論 : 第6回国際粘土会議報告
- 1972年国際粘土会議準備と内容の概略
- インド洋海底土中の粘土鉱物
- 国際粘土研究連合 (AIPEA) よりの連絡
- 1969年度国際粘土会議についての準備状況報告 (II)
- 粘土研究国際連合の活動
- 1969年度国際粘土会議についての準備状況報告 (I)
- 日本粘土学会創立10周年にあたり
- 粘土鉱物のラインプロフィルの研究
- 二十八面体雲母の混合層鉱物への変換における二三の考察