ササゲ(Vigna unguiculata(L.)WALP.)の耐乾性評価法
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概要
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育種によりササゲ(Vigna unguiculata(L.)WALP.)の耐乾性向上を図るためには, 耐乾性が優れる交配親を特定し, 交配後代の耐乾性を評価しつつ選抜する必要がある.このため, 耐乾性の評価方法を確立するとともに, 耐乾性極強の遺伝資源を見出そうとした.NigeriaのKano市に存在するIITA(国際熱帯農業研究所)Kano支所の乾季の圃場を利用して, 遺伝資源900系統の評価を行い, 極強の22系統を特定した.乾季の圃場を利用するこの評価方法は省力的であり, 試験精度の面でやや問題があるものの, 一回の供試量として1,000系統程度の大量の供試材料を粗選抜するのに好適する方法であると思われた.次に, 実生をポット栽培し, 土壌水分を規制しつつ評価する方法を試みた.Kanoの現地で供試した砂質土壌の場合は重量比で土壌水分3%が最適であった.つくばで追試した場合は火山灰土壌と川砂を容積比1 : 1で混合した土壌を用いる事により3%での評価が可能となった.この方法で90系統・品種を評価し, 極強の21系統・品種を特定した.この評価方法は精度と再現性は高いが多労であるため一回の供試量として概ね100-170系統が限度であろうと思われた.圃場での評価では下層土壌に土壌水分が残留するため深根性である事が重要であろうと想定された.一方, ポットによる評価では根圏と土壌水分が厳しく限定されているため, 地上部の耐乾性が重要であろうと想定された.このため, 評価結果は当然異なるものと予想したがはからずも良く一致した.一致した理由は明らかではないが, 考えうる可能性を考察した.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1997-06-01
著者
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