耐乾性が異なるササゲ(Vigna unguiculata(L.)W_<ALP>.)をスーダン・サヴァンナの乾季に試作した場合の収量性と, それらを水ストレス下でポット栽培した場合の乾物生産
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概要
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耐乾性極強と評価されたササゲ(Vigna unguicalata(L.)W_<ALP>.)の遺伝資源を降雨の無いスーダン・サヴァンナ(Kano, Nigeria)の乾季現地圃場に栽培して生産力を評価した.また深根性の重要性を評価するため, 根圏が限定されるポット栽培を行い, 耐乾性が異なる系統の水ストレス下での乾物生産を比較した.現地圃場試験では, 極強系統(TVu 11979,11986,12348)はいずれも1t/ha程度の収量性を示したのに対し, 極弱系統(TVu7778,8256,9357)では0.2-0.3t/haにとどまった.このことから耐乾性の評価結果は信頼し得るものであり, 極強の系統を用いれば乾季にササゲを実用的に栽培することが可能であることがわかった.水分ストレス下のポット試験では, 乾物生産の阻害程度は耐乾性極弱・極強の系統間で等しく, 極強系統での阻害程度が小さいということはなかった.また, 登熟期における乾物の諸器官への分配率は系統間で著しく異なり, 極強のTVu11979では根への分配が多く, 莢実への分配は少なかったのに対し, 極弱のTVu9357では根への分配が少なく, 莢実への分配は多かった.これらの二つの実験から, 乾季の現地圃場でTVu11979等の極強系統の収量性が優れたのは, 根の生育が優れるため下層に残留する土壌水分を利用することができたためであるが, 水ストレス下のポット栽培で極強系統の乾物生産が極弱系統と同程度に阻害されたのは, ポットにより根圏が限定され, 根の生育が優れるという極強系統の特性が水収支上, ひいては乾物生産上有利に働かなかったためと推定された.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1997-12-01
著者
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