本邦における導入アゾラの生育について
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概要
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導入されたアゾラの種の生育状況を知るため, 国際稲研究所に保存されているアゾラの一部と本邦で採取したもの約50株を三重大学で培養・保存し, これらの株の三重での年間の生育状況を水耕と土耕で調査した.本邦で採取したものは実はAzolla microphylla(MI)とA.filiculoides(FI)の交雑種で導入されたものだった.水耕実験(1992年6月末から約1年間)では毎週一定量を接種して, 2-3週間継続培養し, 週間の日平均増殖量を求めた.1992年6月から1年間にしめて20回の培養試験をおこなった.明確な季節変動を示し, 冬はほとんど生育が停止し, 春から初夏にかけて最高の生育を示し, 夏に生育が低下し, 秋に生育が回復したが, 生育速度最高値は春ほどでなかった.夏と冬には一部の株は枯死した.年間を通じて一番生育の良かったのはMIとFIの交雑系統であった(55g新鮮重m^<-2>day^<-1>).温度と生育速度の間に明瞭な関係があり, 日最高気温の週間平均値が10℃以下では生育はほとんと見られず, また30℃以上では増殖の最高値が低下した.FIの最適温度は他の系統より低かった.土耕での生育も明瞭な季節変動を示し, 年間を通じて一番生育の良かったのはCA3005であった(1日で10.5%の新鮮重増加).やはりFIは高温に弱かった.土耕でも真夏に枯死するものが多かった.土耕で26の株で主に9-12月と5-7月に胞子のう形成が観察された.
- 日本熱帯農業学会の論文
- 1996-09-01
著者
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