輸入ワイン中のジエチレングリコール及びグリセリンの分析について
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概要
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この度の輸入ワイン事件を通し, 当所ではDEGの測定方法を検討するとともに, 全80件の輸入ワインを分析し, 以下の知見を見た.1)DEGの分析法として, ワインを2倍に濃縮後PEG-20Mで定量し, DEGS等を併用して確認するGC法が最も簡便で, 再現性が良かった.GC用液相としては, PEG系, DEGSなどが最適であり, シリコーン系のものは不適当であった.2)ワイン80検体のうち5検体よりDEGが検出され, その定性はGC-MSで行い, 定量はGC-FIDによった.検出値は0.015-2.3(g/l)の範囲であった.3)DEGのGC分析時における夾雑成分について, GC-MSなどにより検討した結果, ワイン内成分としてグリセリン, HMFなどが同定された.4)厚生省発表の全国のDEG検出ワインについて等級別濃度分布を調べたところ, 検出率は上級ワインほど高く, DEGの添加が等級格上げのために用いられていた実態が明らかとなった.5)DEGに物性の類似するグリセリンに着目し, その含量を測定した.全71件の濃度は3.9-40(g/l)平均8.3(g/l)で, これらの等級別濃度分布を作成したところ, DEGと同様に高級ワインほどグリセリンの含量も高い傾向にあることがわかった.
- 公益社団法人日本薬学会の論文
- 1987-08-31
著者
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橋本 久美子
浜松市衛生試験所
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山本 安子
浜松市衛生試験所
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大村 正美
浜松市保健所
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橋本 久美子
浜松市保健所
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安藤 圭子
浜松市保健所
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清水 義允
浜松市保健所
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平出 光
浜松市保健所
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大村 正美
浜松市衛生試験所
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安藤 圭子
浜松市衛生試験所
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山本 安子
浜松市保健所
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内藤 康彦
浜松市保健所
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島津 守矢
浜松市保健所
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