ヨモギハムシの地理的個体群間のアロザイム変異
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概要
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日本列島のヨモギハムシChrysolina aurichalcea (MANNERHEIM)の地域個体群における遺伝的変異の量および地域個体群間の遺伝的分化の量を, 電気泳動法によって研究した.9地域(屋久島, 宮崎, 福岡, 高知, 松本, 美ケ原, 美浦, 秋田, 稚内)の個体群を用い, 4つの遺伝子座の非酵素タンパク質(Pt-1, Pt-2, Pt-3, Pt-4)と7つの遺伝子座の酵素(Amy, Cat, G-6-pd, Lap, Me, Got, Mdh)のアロザイム変異を調査した.これら地域個体群の多型的遺伝子座の割合は, 平均で0.439であり, 平均ヘテロ接合体率の平均値は0.139であった.地域個体群の平均ヘテロ接合体率の間には有意な差は認められなかった.本種の全遺伝的変異の83.7%が地域個体群内の遺伝子組成に起因し, 16.3%が地域個体群間の遺伝子組成の違いに起因した.Pt-3の対立遺伝子頻度は南北にわたる勾配を示した.地域個体群間の遺伝的距離の平均値は0.035であった.遺伝的距離に基づくと, 本種の地理的個体群は, 美ケ原, 稚内個体群のグループとその他の地域個体群のグループに分けることができた.これら遺伝的分化の原因として, 両グループ間の環境条件の違いや寄生食物の違い, あるいは両グループは系統的に由来が異なっているという三つの可能性を考察した.
- 日本昆虫学会の論文
- 1987-09-25
著者
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