天草下島, 高浜変成岩類の水平的地質構造と変形史
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概要
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天草下島西端に露出する高浜変成岩類は岩体の北部, 東部, 南部を上部白亜系姫浦層群に覆われている.高浜変成岩類と姫浦層群は低角な正断層によって接している.高浜変成岩類は結晶片岩類からなる下部ユニットと, 緑れん石角閃岩, ざくろ石角閃岩およびざくろ石-雲母片麻岩からなる上部ユニットの2つの構造単元に区分できる.両ユニットの境界は, 低角のスラストまたは延性剪断帯であると推定される.すなわち上部ユニットは下位を結晶片岩類に, 上位を非変成の姫浦層群によって挟まれた低角なシート状構造をなしている.高浜変成岩類の変形過程は6つの時相に区分できる.最も著しい延性剪断変形を被ったと考えられるD_2時相の剪断センスの解析から, 高浜変成岩類が北ないし北東方向に上昇したことが示唆される.本研究の結果および九州の変成岩類に関する既報を総合すると, 高浜変成岩類は三波川変成帯に帰属する説が最も支持される.
- 日本地質学会の論文
- 2005-12-15
著者
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山本 啓司
鹿児島大 理
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山本 啓司
鹿児島大学理学部
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山本 啓司
鹿児島大学理学部地学科:(現)鹿児島大学理学部地球環境科学科
-
守山 武
鹿児島大学理学部地学科:(現)岡山大学地球物質科学研究センター
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山本 啓司
鹿児島大学大学院理工学研究科
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