挙児希望のある子宮内膜症症例の自尊感情についての検討

概要

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子宮内膜症の月経痛や過多月経は女性のQuality of Lifeを低下させる。また, 子宮内膜症による不妊症の不安が精神的ストレスとなる可能性もある。そこで, 子宮内膜症症例の身体症状や気分の障害と自尊感情との関連を検討した。挙児希望のある確定診断された子宮内膜症29症例, 健常な未婚婦人30名, 既婚婦人30名に対して, 同意のもと, 無記名の自己記入式質問紙調査を行った。子宮内膜症群では, 対照群に比較して月経に伴う血塊, 腹部膨満感, 排便痛, 背部痛, また, 月経以外の時期の性交痛, 下腹部痛, 腹部膨満感, 排便痛, 不正出血などが有意に高頻度であった。また, 月経時には, 「やる気が出ない」「人に攻撃的になる」など, 月経以外の時期には, 「憂うつになる」「孤独を感じる」などの気分の障害が有意に高頻度であった。気分の障害の項目数が多いほどRosenbergの自尊感情尺度(邦訳版)は低く, 負の相関がみられた。また, 既婚症例に限ると, 不妊症の不安のある症例は自尊感情尺度が低い傾向がみられた。子宮内膜症の診療では, 身体症状が注目されることが多いが, 気分の障害や不妊症の不安などを考慮した支援が重要であると考えられる。