樹上に於けるクロヤマアリと他種の蟻との關係
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
1. 樹上へ食餌を求めて來る蟻類は「占有種」と「非占有種」に大別出來る。1本の樹に數種の蟻が登る場合「占有種」は夫々集團的に枝を占有し侵入者を攻撃するが, 「非占有種」はこの様な占有枝を持たず他種の占有枝から蜜滴を竊取する。從て1本の細枝上では「占有種」同士は共存が出來ないが「占有種」と「非占有種」とは共存可能である。2. 「非占有種」であるクロヤマアリに就いて觀察した所では, この種が1種類のみ枝上に集合すれば「占有種」と同じ樣に侵入者を攻撃するのが見られた。然しこの枝に「占有種」であるアミメアリ群が侵入しクロヤマアリ群中に混入すると共に, クロヤマアリの行動は變化し他種の占有枝上にゐる場合と同じ様な「非占有種」的行動を示す樣になつた。3. 「占有種」, 「非占有種」の差異は結局夫々の種類の持つ群行動性の大小に基くものと考へられる。「非占有種」が一般に占有枝を持たないことは, 之等が群行動性に乏しい爲に集團を作り難く, 從て群を作る事によつてのみ發揮し得る「占有枝防衛力」が現はれない爲であると解される。
- 日本昆虫学会の論文
- 1941-07-30
著者
関連論文
- 綜合討論(心理学・生態学)
- 生態学の現状と展望
- 綜合討論(生態)
- 桜島における蟻類の生態分布(生態・心理)
- 昆虫集團のNeyman A型分布に就いて(分類・動物地理・生態)
- スナガニ科数種の野外における死亡率(生態・心理)
- Population Cageに於けるD.melanogasterの産卵分布(分類・動物地理・生態)
- 分散と個体群圧力 : アリジゴクの棲息密度についての実験的研究(II)
- アリジゴクの分散と棲息密度との関係について(生態・動物地理)
- アリジゴク個体の作る「場」について(分類・動物地理・生態)
- どのような空間分布の個体群に対してでも適用できる間隔法利用密度推定法
- 自然となじみになるためにー自然保護教育の方法について思うことー
- 種多様性指数値に対するサンプルの大きさの影響
- 回転率とP/B^^-およびP/B_との関係について
- 樹上に於けるクロヤマアリと他種の蟻との關係
- 生態学と数理 (数理生態学)
- 個体の分布と環境
- 動物個体群の分布構造の解析
- Iσ-法による分布の解析(生態)
- 生物群集の構造における量的取扱い : I.モデル抽出実験における種数, 個体数関係(分類・生態)
- 群集比較の新方法(生態)
- おわりに(大阪市立自然史博物館(編),シンポジウム 淀川の自然保護を考える:p. 80)