イギリス19世紀貧民教育状態(VII) : 貧窮児童教育特別委員会報告(1861年7月)
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概要
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本稿は,イギリス19世紀における貧民教育の実態にかんする継続研究であり,1861年貧窮児童教育特別委員会報告をとりあげる。国民的規模の教育が認識される枠組に応じ,教育機会から隔絶された貧困階層子弟の教育が,いわば必然の課題とされた。その共通認識の内実は多岐に及び,現代でも検討課題と指摘しうる論点をすくなくない。人権の範疇における労働者市民の自立としての教育機会の設定から,社会的安全と経済的効率の観点まで,まさに多様な発想と思惑がうかがわれる。保安・統制と効率・安価の国民統合の政策から,児童の状況に応じる既存の目的・機能別の教育機関が正当化・補強されつつ,未成熟でマイノリティの貧窮児童教育部門への待機・間接的干渉がはかられる。この路線は1850年代の国家的システムとしての貧民教育の一層の進行であり,この方略の展開において公教育設営の先鞭がつけられるのである。This article is one of the succesive studies about the poorer education in 19th century in Gt.Britain.It mainly takes up the report of the Select Committee on the Education of Destitute Children of 1861,and tries to examine the contents of the report with reference to the poorer education.As the result of the deductive role of the report the classification of the several schools where the destitute children had been inmates was clarified and more promoted owing to the nature of each school which had been established and practiced,in spite of the class of the neglected children from school were still remained.
- 大阪教育大学の論文
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