イギリス19世紀貧民教育状態(VI) : 1850年代における貧民教育システムの進行と組織化
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概要
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本稿は,イギリス19世紀貧民教育に関する継続研究であり,その国家的システムが組織される1850年代の貧民教育に時期を限定して,当該期の主要な実態と動向を明らかにしようとするものである。この期をあえて特徴づけるならば,貧民教育を国民的課題とする時代認識が官民ともに形成され,さまざまな状況に置かれた児童の保護と対処を基盤とする教育議論が交わされた時期である。それは,法制・行政の側面からとらえれば,教育と福祉と社会保全行政にかかわる近代国家の機構としての不可避の対応であり,国民教育の拡充・整備の事業を射程にいれつつ構想される貧困・「非行」児童保護教育の分化のシステムの開始であり,「同化」と「排外」を軸とする青少年レベルにおける国民的統合の模索の過程にほかならない。This article is one of the continuous study about the poorer education in 19th century in Gt.Britain.It makes clear the principal state and tendency of being systematized the poorer education frame work into the national educational system in 1850s'.This period is characterized by the wide formation of the recoginition in the government and the voluntary field that the poorer education was one of the national problems,and the educational provision for the guarantee of the right to education of children under various situations was discussed.This process is inevitable historical occation among the modern national system and education,welfare and social preservation.At the same time in this period the expansion and differentiation of education for the poorer or juvenile offenders or vagrant children was initiated,and these all children seemed proposing social problems were consolidated into the national educational enterprize.
- 大阪教育大学の論文
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