電弧熔接による Cr-Ni 鋼熔着鋼の耐熱性
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
各種原動機, 化学機械等の急激な需要から高温に於て使用される機器が多くなつて來てゐる。それには先づ耐熱鋼の研究が重要で然もこれを熔接構造とするためには優秀なる耐熱鋼熔接棒が是非必要となる。筆者等はこれ等の趨勢から700℃前後に於て強力な熔接々手を得んものと本實驗を行つた。耐熱熔接棒に關する文献を調査すると概ねNi含量の大なるものが多く, 我國の如くNi資源の乏しい國にあつては甚だ痛痒を感ずる。文献によると25%Cr-20%Ni熔接棒に關する資料が多く一部の研究者は初期の耐熱鋼熔接棒であるとなし, 又特に自硬性を有する高炭素鋼や特殊鋼の熔接に利用されてゐる向が多い。耐熱鋼熔接棒としては更にNi含量の多い例へば15%Cr-35%Ni, 13%Cr-60%Ni, 15%Cr-85%Ni等が發表されてゐるが詳細な資料ではない。茲では取敢えず18%Cr-8%Ni, 19%Cr-9%Ni-1%Mo, 25%Cr-20%Niの3種の熔接棒で電弧熔接による熔着鋼を作り, 高温度に於ける引張, 衝撃及び匍匐試驗を行つた。その結果高温強度では25% Cr-20%Niが最も大で次で19%Cr-9% i-1%Mo, 18%Cr-8%Niの順となつてゐる。併し靱性は丁度その反對で18% Cr-8% Niが最も良好であつた。匍匐試驗によるとその假定する匍匐速度によつて勿論耐久限度を異にするが, 3種の熔接棒を比較した場合は25% Cr-20% Niが最も優つてゐる。勿論この實驗結果から必ずしも25% Cr-20% Niが最良の耐熱鋼熔接棒であると斷定してゐるものではなく, CrとNiの含量の如何, 他の有効金屬元素の添加も考へられ同時に電弧熔接としては適合する被覆劑の研究も必要で殘された問題は多いのである。
- 社団法人溶接学会の論文
- 1943-05-25
著者
関連論文
- 熔着鋼の繰返衝撃強度に就て
- 低 Mn 系高抗張力鋼の熔接性に関する研究
- 電弧熔接による Cr-Ni 鋼熔着鋼の耐熱性
- 高速度鋼原子水素盛金の熱處理
- 高低温度に於ける軟鋼熔接部附近の衝撃値分布
- 炭素含有量大なる鋼材の瓦斯切斷の影響
- (3) 薄鋼板の熔接歪に関する研究 : ビード熔接および突合せ熔接に生ずる歪について(昭和33年度春季学術講演会講演概要)