ガラス素子を用いたナロービーム線量測定
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概要
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【目的】ガラス線量計小型素子システムDose Aceについて、定位放射線治療(Stereotactic Radiosurgery:以下SRS)に用いるナロービーム線量測定を検討する。 【使用機器】 ・直線加速器:PRIMUS(東芝)10MV X-ray ・ガラス線量計小型素子システムDose Ace(旭テクノグラス株式会社)超小型ガラス素子(GD301)1.5φ×8.5mm 読取マガジン:standerad(標準付属品:FGD-M101),小照射野用(オリジナル:以下SRS用とする) ・ダイオード(EDD-2)、・0.6ccチャンバー(c-110)、・タフウォータファントム、・ミニファントム 【方法】 SRS線量計算に必要となる全散乱係数(Sc,p)、およびコリメータ散乱係数(Sc)の測定をガラス素子で可能か、否かの検討を行った。照射野は、5×5cm^2、10×10cm^2および0.6〜4.2cmφの7種類のSRSコーンで、合計9種類で測定した。ガラス素子の読み取りはDose Aceで行い、読み取りマガジンはstanderadマガジンとSRS用マガジンで行い、両者の比較も行った。以下にSc,pおよびSc測定の固有のパラメータを示す。1.Sc,P測定;ファントム中の測定深は2.5、5.0および10cmとし、線源検出器間距離(SCD)を100cmとした。2.Sc測定;SCDはガラス素子が0.6cmφの照射野で完全に含まれるよう直線加速器を270°にし、3mとした。Sc測定はビルドアップまたはミニファンドム中で行われることから、ガラス素子が測定できるようなミニファントムを作成し、深さを2.5cmとした。ガラス素子の測定値の検証には、ダイオード(EDD-2)、0.6ccチャンバー(c-110)をそれぞれ用いた。 [結果,考察] 測定深2.5cmでのSc,pの結果をFig.1に示す。ガラス素子によるSc,p測定値は、0.9cmφ以上においてstanderadマガジンおよびSRS用マガジン共にダイオード値と比較して変動係数で1.8%以内であった。しかし、0.6cmφの変動係数はstanderadマガジンで13.4%、SRS用マガジンで2.6%の差を示した。測定深5cmでのSc,pの結果をFig.2、測定深10cmでのSc,pの結果をFig.3にそれぞれ示す。測定深について見るとガラス素子とダイオードの測定値の差は深くなるにしたがい大きくなる。SRS用マガジンにおける0.6cmφでは、測定深2.5cmで2.6%の差であるが、測定深10cmでは5%にもなる。standeradマガジンでは、測定深2.5cmにおいて1.2cmφで2%となった。このことから、深さ方向にも注意しながら測定しなければならない。Scの結果をFig.4に示す。c-110とガラス素子では0.6cmφで10%、0.9cmφ以上では3%の差が見られる。これはミニファントムの影響ではないかと考えられる。 【結語】 ナロービーム線量測定におけるSc,pをガラス素子で測定する場合、ファントム深はピーク深の方が実用的である。また、読み取りマガジンをSRS用マガジンを使用することで、0.9cmφ以上の照射野において誤差を2%以下におさえられる。[figure][figure][figure][figure]
- 2002-04-04
著者
-
池田 郁夫
杏林大学医学部附属病院
-
池田 郁夫
杏林大学病院
-
名古 安伸
杏林大学医学部付属病院放射線治療室
-
高木 正人
杏林大学医学部付属病院放射線治療室
-
池崎 廣海
杏林大学医学部付属病院放射線治療室
-
池崎 廣海
杏林大学病院
-
名古 安伸
杏林大学医学部付属病院放射線部
-
池崎 広海
杏林大学医学部附属病院 放射線
-
池崎 廣海
杏林大学医学部付属病院
-
池崎 広海
杏林大学 放射線医
-
高木 正人
杏林大病院・放射線部
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