プロファイリングフロートの適切な海面漂流時間 : 欠損のない観測プロファイルを得るために
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概要
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プロファイリングフロートで得られる観測データの鉛直分解能は, Argos通信の処理能力に制約される。欠損のない観測プロファイルを得るためには, 多数に分割されたデータの全てを受信する必要がある。そのためにはフロートの通信時間(海面漂流時間)を長くしなければならないが, これは同時にフロート観測にとって深刻な問題を引き起こしうる。本稿では, 観測プロファイルに欠損が出現する割合(プロファイル欠損率)を統計的に求め, 調節すべき海面漂流時間とデータ量の基準を示した。プロファイル欠損率の理論値を正確に推定するためには, フロート展開域におけるデータ受信確率の正確な値を用いることが肝要である。データ受信確率は高緯度ほど高く, 同緯度では大陸から離れるほど高くなる傾向がある。データ量を固定して海面漂流時間だけを短くすると, データ受信確率の値によらずプロファイル欠損率は約3〜5%を境として急速に増大した。欠損プロファイルの予期せぬ頻発を避けるために, プロファイル欠損率が3%以下になるようにフロートの海面漂流時間を設定すべきである。具体的には, 2005年4月現在と同様に5機のArgos衛星が稼働している場合, メッセージブロック数が24の場合は9時間以上, 同16の場合は6時間以上の海面漂流時間が必要である。
- 日本海洋学会の論文
- 2005-11-05
著者
-
中島 宏幸
マリン・ワーク・ジャパン
-
竹内 謙介
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター(JAMSTEC IORGC)
-
小林 大洋
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター
-
四竃 信行
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター
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竹内 謙介
海洋研究開発機構 地球環境観測研究セ
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竹内 謙介
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター:(現)独立行政法人水産大学校
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小林 大洋
地球観測フロンティア研究システム
-
中島 宏幸
(株)マリン・ワーク・ジャパン
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小林 大洋
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター:(現)海洋研究開発機構地球環境変動領域
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小林 大洋
地球観測フロンティア
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小林 大洋
地球観測フロンティア研究システム 海洋科学技術センター
-
小林 大洋
海洋科学技術セ
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