プロファイリングフロートによる溶存酸素濃度測定に見られる負バイアス
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概要
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本論文において,海洋研究開発機構および東北大学が北太平洋に展開した溶存酸素(DO)センサー搭載フロートによるDO計測で明らかになった問題点を示した。フロート投入時に行なわれた採水観測結果に比べて,フロートのDO計測値は低くなる傾向にある。このバイアスは深層では0〜10μ-mol kg^<-1>であり,表層では最大で40μ-mol kg^<-1>を越える値を示した。この傾向はAANDERAA・SBE製センサーともにほぼ同じであり,またバイアス量はメーカー公称精度を越えていた。この負DOバイアスの発生原因は特定できていない。DO消費速度が表層で10〜25μ-mol kg^<-1> y^<-1>,中層で2〜5μ-mol kg^<-1> y^<-1>程度と推定されていることを考えると,現在用いられているDOセンサー搭載型フロートによるDO計測値を,船舶による採水観測データと同様に扱うことには問題がある。DOセンサーの経時変化は,我々のフロートでは確認されなかったが,世界的には数例報告されていることから,DOセンサーの改良と併せて,フロート展開後のデータ補正手法の開発が必要である。
- 2006-11-05
著者
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小林 大洋
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター
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四竃 信行
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター
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小林 大洋
地球観測フロンティア研究システム
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須賀 利雄
海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター
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須賀 利雄
海洋研究開発機構 地球環境観測研究センター:東北大学 大学院理学研究科
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小林 大洋
海洋研究開発機構地球環境観測研究センター:(現)海洋研究開発機構地球環境変動領域
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小林 大洋
地球観測フロンティア
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小林 大洋
地球観測フロンティア研究システム 海洋科学技術センター
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小林 大洋
海洋科学技術セ
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