ウメスカシクロバ Illiberis rotundata Jordan(マダラガ科 : クロバ亜科)の日周活動および繁殖行動
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概要
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ウメスカシクロバIlliberis rotundata Jordan(マダラガ科 : クロバ亜科)の成虫の日周活動や繁殖行動について調べた.ウメスカシクロバは年一化で, 西日本では5月から6月にかけて成虫が見られる.羽化は主に明期開始後から2時間以内に起こり, 羽化性比はほぼ1 : 1であった.室内条件下で水のみ与えた場合の寿命は, メスで21.1±4.5日(平均値±標準偏差, 以下特に断らない場合は同様), オスで24.0±5.4日であった.野外において, 配偶行動は主として午後に行われ, メスは他のクロバ亜科で報告されているのと同様の独特の姿勢でコーリングを行うことが観察された.大部分の交尾は翌日終了するが, 交尾が2日以上延長することもあった(中央値21時間57分, 四分位範囲1時間57分).メスは交尾と産卵を繰り返し行う.室内条件下で自由に交尾させた場合の交尾回数は7.1±4.5回(2回から16回)であった.メスの産卵も午後に行われ, 毎日産下される卵塊のサイズは少しずつ低下した.メスの総産卵数は563.8±150.6個, 受精率は80.6±17.8%, 産卵期間は11.9±3.1日であった.ウメスカシクロバで見られた長時間にわたる交尾の適応的意義について, 他の鱗翅類の場合と比較して考察した.
- 日本昆虫学会の論文
- 2002-09-25
著者
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小汐 千春
鳴門教育大学
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小汐 千春
鳴門教育大学学校教育学部自然系(理科)教育講座
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田中 好久
鳴門教育大学学校教育学部自然系(理科)教育講座
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田中 好久
鳴門教育大学学校教育学部自然系(理科)教育講座:(現)愛媛県立宇和島南高等学校
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