台湾周辺水域におけるイセエビ科およびセミエビ科のフィロゾーマ幼生の分布

概要

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1990年5月〜1995年6月の期間中に,台湾水域より採集されたフィロゾーマ幼生の同定と分布の調査を行った。2科6属13種のフィロゾーマ幼生が同定され,全採集個体のうち90%がイセエビ(Panulirus)属とヒメセミエビ(Scyllarus)属のフィロゾーマ幼生であった。両属ともに初期フィロゾーマ幼生は本調査海域から多数採集された。ヒメセミエビ属では,中期〜後期フィロゾーマ幼生は多数採集されたが,イセエビ属では,最終期幼生を除いた中期〜後期幼生は本調査水域からは採集されなかった。これらのことから,ヒメセミエビ属のフィロゾーマ幼生は,全幼生期を通じて台湾北部沿岸水域に保持されるが,イセエビ属の中期〜後期フィロゾーマ幼生は他水域へ輸送・分散され,その後,最終前期または最終期の幼生が本調査水域へ回帰することが考えられる。また,イセエビ属のフィロゾーマ幼生の輸送・分散,さらには回帰と,台湾北東部海域での反時計回りの渦の存在との関係を論議した。
日本海洋学会の論文
2002-03-05