釜石鉱山地下空間の音響実験と照明の試み
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概要
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鍾乳洞や廃坑など岩盤がむき出しのままの状態にある空洞に入ると、天井から落ちる水滴の音や話し声は共鳴することもなく、とても澄んだ音や声として聞きとれる。これは岩石の種類にもよるが、岩石そのものにも吸音する物性があるためである。また、空洞内は気温や湿度などがほぼ一定の状態に保たれている。このような環境は、空間における音の伝わり方や拡散状況などについて実験するには格好の場所でもある。著者たちは、平成4年に釜石鉱山内に残されている白色石灰岩の地下空間の有効利用を検討する機会を得た。現在、釜石鉱山では採掘跡の有効利用の研究開発として、白色石灰岩層以外の場所において、それぞれ目的に応じた実験を行い続けてきている。検討の条件としては、(1)従来鉱山内で実施してきている諸実験とは異質な、(2)釜石という地名が生かせる地域の活性化につながり、(3)地域の人々に楽しんでもらえるような、(4)白色石灰岩を強調し、そして(5)釜石鉱山の地下にはこんな大空間があるんだと訪れる人たちにいつでも印象づけるようなこと、などを骨子とした。検討の結果、白色石灰岩空洞内の、残響時間などの音響特性が音楽ホールにも適することを主体に、緑・水・人工照明を使ってバランスよく構成し、コンサートステージ・ギャラリー・憩いの広場などの施設を配置し、地上の生活と変わりのない、人々が集まり、休憩し、語り合うことのできる情景の演出の可能性を探求した。本報では、この実験の概要と結果について報告する。
- 一般社団法人日本応用地質学会の論文
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