ステレオ音声通信における音響用適応フィルタの応用 : 単独発言に着目したステレオ音声信号処理
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概要
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半導体技術の進展を背最に音響分野における適応信号処理の実用が本格化してきた.例えば,音響エコーキャンセラは,数百〜数千タップの適応フィルタを用いて実用化されるが,比較的少ない数百タップの適応フィルタで実現できる拡声電話用音響エコーキャンセラは,すでに1チップで実現され,電話機の中に収容される段階に至っている.このような音響適応信号処理技術の進展・実用化は,拡声電話に限らず,長年ハンドセットを当然としてきた音声通信を,より自然な対面通話に近づけることを可能にする.適応フィルタは未知のモデルを推定することにより,様々な処理を可能にする.音声通信(図1)において,人間の音声生成モデルを推定することにより,音声の効率的な符号化が可能になり,伝送路モデルを推定することにより,等化や回線エコーの除去による効率的な伝送が可能になる.これまでの,ハンドセット主体の音声通信は,音声・伝送の処理のみで良かったが,より自然な対面通話を実現するために,発言者の口元,背景雑音源およびスピーカ等の音源からマイクロフォンまでの音響系をモデル化して処理する音響適応信号処理が音声・伝送適応信号処理と同等に重要となる.[figure]このような拡声通話を自然な対面会話のレベルまで到達させるためには,現在実用化されている電話帯域モノラル音声通話では不十分であり,人間の聴覚の本来の形態である広帯域ステレオ・ハンズフリー音声通信が望ましく,広帯域ステレオ音声を効率良く符号化・伝送する技術や,ステレオ音声のエコーを除去する音響エコーキャンセラ技術等が必要となる.筆者は,このような観点から,ステレオ音声生成音響系のモデル化をベースにした、"単独発言に着目したステレオ音声系"の検討を進めてきた.この方式は適応フィルタを駆使することによりステレオ音声音響エコー除去,符号化・伝送を効率良く実現する.本稿では,この"単独発言に着目したステレオ音声系"の技術を紹介することにより,通信における音響応用適応フィルタの役割を説明する.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1995-09-05
著者
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南 重信
(株)東芝セミコンダクター社電子デバイス営業本部ソフトウェア・ソリューション営業部:(株)東芝セミコンダクター社システムlsi第一事業部システムソフトウェア技術部
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南 重信
東芝情報通信システム技術研究所
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南 重信
東芝情報・通信システム技術研究所
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南 重信
(株)東芝モバイルコンピューティング&コミュニケーション開発センター
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南 重信
株式会社東芝 システムプラットフォーム開発グループ
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