量子回路と物理

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量子計算機を、重ね合わせの原理に基づいて並列計算を行う量子テューリングマシンとして明確に定義したのは Deutsch である。それを、物理過程として実現する方法として、Deutsch は量子回路を定式化し、後に詳しく述べる2種類の基本的なゲートの組み合わせで万能量子計算機が作れることを示している。なお多くの人が、量子計算機の実現性に疑問を持っているのも事実である。量子的なコヒーレンスをマクロなレベルで保つのが難しいので、デコヒーレンスから生じるエラーに対して、計算機が脆弱であろう、というのである。しかし、ごく最近、誤りをソフトウェアのレベルで訂正する研究が急速に発展している。実験的にもいくつかのグループが、量子計算機のゲートについて成果を発表するようになってきている。量子計算では、はじめに簡単に用意できる直積による状態を量子回路の入力に準備する。つぎにあるプログラムされたユニタリー変換をゲートによって次々に行い、重ね合わせの中に望ましい状態を含んでいるものを出力する。その出力を何回か観測をしてその望ましい状態に波束の収縮をさせて、そこに書き込まれている情報を読みとる。当然、望ましくない状態に波束が収縮することも起こりうるが、検算をしてそれを排除する。こういう意味で、量子計算は量子力学の本質的な部分だけを用いているということができる。
1997-08-13

量子回路と物理

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