多層型圧電振動子を用いた超音波パルス送受波の実験 (機構デバイスの新しい展開とその基礎論文小特集)

概要

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超音波探傷や医用診断においては,距離分解能の向上のために短いパルスを用いる傾向にあるが,用いる送受波系が広帯域である必要がある.また,長い距離にわたって超音波の伝搬方向の情報を得るにはピーク電力の大きなパルスを用いてS/Nを高くする必要がある.しかしながら,広帯域,高S/Nの両者を両立させることは簡単でない.本論文では,上記の短パルスを用いる方法によらず,逆波パルスをパルス列にし,受波側で相関処理によりパルス圧縮を行い,等価的に短パルス伝送を行うシステムを提案している.最初に,パルス圧縮を行うための複雑な電子回路を用いずに,圧電振動子を複数枚貼り合わせた多層型圧電振動子を用いた超音波パルス列の発生と,同じ特性の多層型振動子を受波に用いて相関処理を行う原理について述べている.次に,バーカ系列に基づいた7符号長の超音波パルス列の逆波および受波用の多層型振動子を作製し,送受波実験を行いパルス列の逆波および相関処理が可能なことを明らかにした.また,入力に外部雑音を加えて,異なったS/N下で送受波実験を行った.逆波パルス列のS/Nが0 dBのときに4.6 dBの利得が得られ,また利得余裕が7.2 dBであることが示され,低S/N下で,本方法が有効であることを明らかにしている.
社団法人電子情報通信学会の論文
1996-11-25

多層型圧電振動子を用いた超音波パルス送受波の実験 (機構デバイスの新しい展開とその基礎論文小特集)

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