微分作用素と音声の多重構造
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概要
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単位円内|z|<1の複素数値解析関数(正則関数)は線型時不変系の伝達関数H(z)として良く使われる。例えば、音声波の線型予測分析(LPC)は一変数の有理関数を用いる。この際、鼻音を除く音声の多くの特徴は有理関数の極に現れる。合成の際には、極の情報を与えて有理関数を作り、声道のフィルターとして用いる。「音声の特徴と極とのうまい対応」が正当化される一変数複素解析の側面からの根拠は、正則関数の極が孤立点であること、による。これらのことから、2人の話者の音声を分析する場合、二変数の有理関数を用いることが考えられる。しかし、多変数の場合、極は孤立点とは限らない。解析接続の状況が一変数の場合とは異なるためである。したがって、極の情報を与えて正則関数を作れるか、どのような条件のときにそれが可能なのか、それ自体が難しい問題となる。この問題はクザン(Cousin)の問題と呼ばれ、Hartogsの逆問題などともに、岡潔が解決した。岡による一連の解決の核心は『上空移行の原理』にある:考えている空間の次元を適当に上げることによって問題の困難さがときとして緩和される。本稿では、『上空移行の原理』に習った音声特徴の多重構造の調べ方について報告する。音声特徴の多重性は、種々の「複雑な領域」に現れる。「複雑な領域」における音声の多重性の問題を『上空移行の原理』を用いて、「簡明な凸性」の組み合わせ問題へと帰着させる。L^2空間との関連も述べる。
- 2000-05-19
著者
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