クラスタリングを用いた領域分割における初期クラスタ設定の一検討
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概要
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近年における画像認識・理解に対するニーズは、リモートセンシング、FAなどをはじめとする様々な分野で高まっている。認識の前処理として非常に重要な役割を果たす画像処理として、画像を輝度や色などの局所的な特徴の一様な部分に分割するセグメンテーション (領域分割) がある。この領域分割は、近年研究の活性化が進むミッドレベル符号化のひとつである、オブジョクト・領域ベース符号化技術においても必要不可欠な要素技術である。領域分割法には、領域拡張法などの画像平面上で分割を行なう方法、K平均アルゴリズムなどの特徴空間上でのクラスタリングを用いた方法、弛緩法を用いた方法などがある。クラスタリングを用いた分割法の中で、K平均法は、単純な構造で多次元の特徴量を一元的に取り扱うことができるため、広く利用されている。しかし、クラスタ数やクラスタ形状などの初期クラスタ構成によって、分割結果が相違する特性を持ち、また、異なる画像に同じ初期値を与えても、必ずしも一様な分割評価が得られるとは限らない。このような初期値依存性を持つ場合、対象画像にとって最良な分割結果を導く初期値設定が行なわれるのが望ましい。しかし、K平均法は、通常、初期クラスタを画像平面上での等面積による矩形分割で構成するため、常に最適な初期値設定によるクラスタリングが行なわれるとは限らない。K平均法の初期値依存性の解決策として、何等かの評価基準に基づいて、良好な分割結果が得られる初期値を予測し、設定する方法が考えられる。本稿では、画像の持つ領域数、領域の位置、形状等の領域構造を捉えた初期クラスタ構成が、分割性能の向上につながるという考え方にたち、他方式の領域分割結果を用いて、大局的な領域構造を捉えた初期クラスタ設定を行なう方式について検討する。
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1997-03-06
著者
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