人間の視覚系における単純線画の3次元解釈
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概要
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人間の線画の3次元解釈を定量的に明らかにすることは人間がどのような仮定のもとで解釈しているかの解明や人間と機械とが線画を通して対話するヒューマンインタフェースの開発のために重要である.単純線画の3次元解釈を,1辺を共有する二つの三角形の図形を用い,その面の向きを定量的に計測することによって明らかにした.一つの三角形では奥行解釈は生じないが,1辺を共有する二つの三角形では安定した奥行解釈を生じる.二つの三角形の面のなす角度によって奥行効果を表すとき,共有辺に向かい合う頂点の角度が大きくなるほど,奥行効果は線形に増加した.この効果について,左右の三角形の頂点の間では差はなかった.共有辺に向かい合う頂点の角度を一定のもとで三角形の形を変えたとき,その形を変えた面の向きは変化したが奥行効果はほぼ一定であった.これらの結果は,共有辺に向かい合う頂点の角度の大きさで奥行効果が体系的に変わること,頂点の角度が一定のもとで三角形の形を変えるときはその面の向きは,1対となっている他の三角形の知覚した面に垂直な軸の周りで,軸との傾きが一定のもとで回転するように変化することなどを示唆している.
- 社団法人電子情報通信学会の論文
- 1994-04-25
著者
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