先験的知識の利用によるX線CT画像の画質改善

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X線CTを産業に応用する場合, 被検体には金属のような線吸収係数の大きな物質を含むことが多い.このとき, 透過X線量が過度に低下し, ストリークアーチファクト(以下, SAと称する)が発生する.この線吸収係数の大きな領域(高吸収係数領域)が検査すべき断層内に一部でもあると, SAがその断層像全体に影響してしまうことがある.一方, 産業用の被検体は, 大きさ, 形状, 材質, 構造等が設計図等により既知である.従って, これらの情報を先験的知識として欠陥部分を抽出し, その部分のみを画像再構成領域として特定することができる.この特定された部分にのみ逐次近似法による画素値補正演算を施す画像再構成アルゴリズムを開発した.再構成画像上, 欠陥として抽出された部分以外には, 先験的知識により得られる線吸収係数を付与することができるので, 高吸収係数領域から生じるSAの影響を低減することができる.数種類のファントムを用いた計算機シミュレーションによる実験の結果, 本画像再構成を用いることによりSAを著しく低減できることがわかった.本方式では, 欠陥部分の占有面積が大きくなると, その画質改善効果が低下するが, 投影方向数を増加することにより, その低下を抑制できることを確認した.また, 高吸収と低吸収の欠陥が一つの再構成画像内に共存する場合, 画質改善効果が低下するが, これに対しても解決策を見出した.
社団法人電子情報通信学会の論文
1998-02-25

先験的知識の利用によるX線CT画像の画質改善

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