マルチエージェントパフォーマンス制御に於ける相転移の役割(「21世紀の知識情報科学に向けて」,及び一般)

概要

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マルチエージェントシステムは、多数のエージェントが互いに相互作用することで動的に構成された集合的システムであり、他の集合的システムとしては、磁性体から脳システム、生態系に至るまでさまざまなものが存在する。また集合的システム全般が示す興味深い集合的特性の一つとして、"相転移"が知られている。本研究は、情報の時間遅延がマルチエージェントのパフォーマンスを"連続的"または"不連続的"に変化させることを示し、その特異な現象が相転移であることを明らかにする。またそこでパフォーマンスの急激な変化を誘起する原因は、力学的分岐により新たに創発したエージェント集団のマクロ運動にあることを示す。さらに、相転移に特異な履歴現象について議論する。具体的には、パフォーマンスの値がパラメータの値からは一意的に決まらず、我々がパラメータをいかに操作したか、という"操作の歴史"に依存してしまうことを示し、パフォーマンス制御を実行する際の新たな調整要素として操作の歴史を考慮する必要があることを明らかにする。
社団法人電子情報通信学会の論文
2003-07-25