鶏肉のイノシン酸含量に及ぼす汚染細菌の影響
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概要
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市販鶏肉中のIMP含量は,3.06〜8.44μmol/g,一般細菌数は,3.7×10^4〜6.3×10^6 CFU/g, 大腸菌群数は6.0×10^1〜8.5×10^4CFU/g であった.市販鶏ムネ肉の皮と目に付く脂肪を取り除いたものをそのまま(無処理肉),または真空包装したもの(真空肉)と,表面を削り取って表層部の汚染細菌を除去後真空包装したもの(処理肉)を作製し,4℃で保存した.その結果,無処理肉,真空肉ではIMPが7日目にはほぼ消失したが,処理肉では,7日後でも約半量が残存していた.無処理肉および真空肉の細菌数は,7日間を通して10^5〜10^6CFU/g であった.処理肉の細菌数は,保存開始時に300CFU/g以下であったが,7日目には10^6CFU/g に増加した.各試料肉のミクロフローラに違いがみられ,Lactobacilliが7日目の処理肉では97%を占めたが,真空肉では47%,熱処理肉では31%であった.鶏肉に分離菌を接種して4℃,4日間培養したところ,Lactobacillus sp.とMicrococcus sp. を接種した試料肉中のIMPが対照肉とほぼ同程度残存した.さらに,加熱滅菌した鶏肉にこれらの分離菌を接種して35℃で培養したが,IMPはほとんど分解されなかった.Staphylococcus sp.およびEnterobacteriaceaeの菌を接種した試料肉中のIMPは,4℃培養では多く残存したが,35℃培養では速やかに滅少した.以上の結果より,鶏肉中のIMPの分解に,肉中の酵素だけでなく汚染細菌も関与すること,菌種によりIMPの分解活性が異なり,Lactobacillus sp.やMicrococcus sp.はIMPをほとんど分解しないことが示唆された.
- 社団法人日本家政学会の論文
- 2003-06-15
著者
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