自己主張タイプ児の遊びをめぐる交渉の発達
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概要
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自己主張タイプの5歳児2名の遊びをめぐる交渉の発達を, 縦断的に検討した。対象児の行動は, 2つの幼稚園の自由遊び場面において, 1年間に3回, 合計6目間観察された。交渉過程をプラン共有不成功後に状態改善を図る行動ととらえ, 3つの視点から分析した。すなわちどのようなスキルを用いて交渉が行われるか, どのような問題をめぐって交渉が行われるか, どのような遊びグループとの問で問題が発生するかである。当初は交渉不成立後の状態改善の試みは少ないが, 2カ月後には状態改善を試みるようになり, しかも状態改善数が増加した。5カ月後には状態が改善されない場合にも, 遊びが進行した。交渉するためのスキルは, 対象児と柏手の双方で変化し, 対象児はより方略的、説得的になった。交渉の行われる問題は, 遊びの成立に関わる問題から, 遊びの進行に関わる問題へと移行した。しかも, "構造面"から"内容面"へと分化した。問題の発生するグループは, 同じ遊びグループ内 (IN) から外部のグルーブ問 (OUT) ヘと移行した。本研究は, 先行研究で指摘されたINとOUTとの方略の和違を裏づけ, さらにINの発達的変化, INとOUTとの関係性をも明らかにした。
- 日本発達心理学会の論文
- 1995-12-10
著者
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