保育者の熟達化プロセス : 経験年数と事例に対する対応
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概要
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本論は, 幼稚園の教師が熟達化にともなって, 保育上の間題をどのようにとらえ, それをいかに解決するようになるかを検討した。対象は33名の保育者であり, 経験年数によって3群 (2-4年群, 5-l0年群, 11年以上群) にわけられた。対象者の所属する幼稚園で, 個別の面接をおこなった。3人の幼児の事例を読んでもらい, 対応の難易とその理由, 設定する目標, 幼児の変化の予測, 各事例で不足だと思う情報などについて答えてもらった。3つの仮説の検討を通して, 次のことが明らかになった。幼児と指導についての知識は, 初心者より中堅者と経験者で多かった ; 中堅者と経験者の知識量に差はないが, 経験者の知識はより構造化されていた ; 経験によって対応の難易の認識に差はないが, 難易の認識の理由には違いがあった ; 初心者と経験者の違いは, 幼児をとらえる文脈とそのとらえ方に示されていた ; 経験者は指導の難しい幼児に多くの推論をし, 幼児の状態を具体的かつ詳細な文脈情報を使ってとらえていた。これらの結果から, 保育者は熟達するにつれて豊富な構造化された知識をもつようになること, 保育上の問題解決には, 文脈と結びついた手がかりやこつが使われること, その手がかりやこつは幼児の個人差や発達的変化によって変わることが示唆された。
- 2000-12-31
著者
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