幼児における植物の成長プロセスと生命に関する認識の変化 : エダマメの栽培経験の効果
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概要
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本研究の目的は, 幼稚園でのエダマメの栽培経験が幼児における「植物の成長プロセス」と「植物の生命の認識」にどのような効果をもつかを明らかにしようとするものであった。59名の幼稚園児(5歳児)が約3か月にわたってエダマメ栽培, すなわち, 畑の耕作, 種蒔き, 根や芽, 葉, 蕾, 花, 実の観察, 水やり, 草取り, 収穫を経験した。これらの幼児に対して, エダマメの栽培経験の前後およびその過程でエダマメの成長プロセスと植物(エダマメ, ヒマワリ, 草, 木)の生命認識について個別に面接調査が実施された(成長プロセスについては, 成長の段階を描画する方法が用いられた)。その結果, 次のことが明らかとなった。(l)エダマメの栽培経験は, 「エダマメの成長プロセスの認識」, とくに葉と花の成長段階を表象することに対してかなりの効果があった。(2)エダマメの栽培経験は, 約4割強の子どもの「エダマメの生命認識」に変化をもたらし, とりわけエダマメを生きていないと考えていた子どもに対してエダマメの成長の比較的初期の成長段階の観察, つまり根や双葉の発生についての観察が幼児の「エダマメの生命認識」に影響を与えた。また, 草を除くヒマワリと木についても「生命認識」の変化が生じたが, それらの多くはエダマメの栽培経験が契機となって生じた可能性が高いと考えられた。
- 日本発達心理学会の論文
- 1997-10-30
著者
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