乳児期における自己主張性の発達と母親の対処行動の変容 : 食事場面における生後5ヶ月から15ヶ月までの縦断研究
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概要
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乳児期の自己主張性の発達を検討するために, 8組の母子の食事場面を, 生後5ヶ月から15ヶ月まで縦断的に観察した。特に, 子どもの「母親に食べさせる」という役割交替の出現と自己主張・反抗行動との関連, 子どもの自己主張性の発達に伴う母親の対処行動の変化に注目して分析を行った。結果, (1)自食行動が優勢になる生後10ヶ月前後に役割交替が生じること, (2)役割交替を基準にして, その前後で受動的摂食の拒否の割合を比較すると顕著な増加が認められること, (3)母親の介入に対する子どもの不満が高まる時期に, 母親の介入量が減少していくこと, (4)同時に, 子どもの一貫した要求行動が見られるようになる11ヶ月頃から, 母親が子どもの失敗の責任を, 子ども自身に帰属するような言動を始めることが示唆された。最後に, 役割交替の発達的意義として, 自他の情動的体験の差別化を生じさせ, 自己主張性を促進するコミュニケーション構造であることが議論された。
- 日本発達心理学会の論文
- 2005-04-20
著者
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川田 学
東京都立大学人文科学研究科:(現)香川大学教育学部
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塚田 みちる
東京都立大学大学院人文科学研究科
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川田 暁子
青梅市健康センター
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塚田 みちる
東京都立大学人文科学研究科
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塚田-城 みちる
中京大学心理学部
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