1歳児は教えることができるか : 他者の問題解決困難場面における積極的教示行為の生起
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概要
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本研究は社会的知能のひとつのあらわれである教示行為に注目して行われた。特に, (1)1歳児における積極的教示行為(active teaching)の有無,(2)積極的教示行為の生起と自己鏡像認知(mirror self-recognition)の成立との関連,を明らかにすることを目的として研究を行った。1歳Oヵ月〜1歳11ヵ月の幼児43名を対象に,「他者による問題解決困難場面提示課題」とよばれる独自の課題およびGallup(1970)の開発したマーク課題を実施した。「他者による問題解決困難場面提示課題」とは,実験者が,新版K式発達検査で用いられるはめ板と円板を素材として,円板を四角孔にいれようと対象児の目前で試行錯誤するという課題である。その結果, (1)1歳8ヵ月以降の幼児のおよそ60%が積極的教示行為を生起させた,(2)積極的教示行為の生起と自己鏡像認知の成立との間に関連がみられた,という2点が明らかになった。以上の結果から,積極的教示行為および自己鏡像認知の成立には1歳半ころの表象能力に基づく自他の分化が基盤にあることが示唆された。
- 日本発達心理学会の論文
- 2004-12-20
著者
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