青年期自閉症者における鏡像自己認知 : 健常幼児との比較を通して
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概要
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本研究の目的は,青年期自閉症者における鏡像認知の特徴を明らかにすることである。特に,(1)マークが添付された自己像を認識しても自発的にはマークに触らない自閉症者がいるかどうか,(2)マークが添付された自己像を認識した時点で,他者にどのようにこの事態を伝達するかについて明らかにすることを目的とした。知的障害者通所授産施設に在籍する青年期自閉症者35名を対象に,表象機能の発達水準が類似した健常幼児51名と比較した。マークを触るのを引き出すような誘導条件を設定し,マーク課題を行った。その結果,(1)自発的にはマークを触らないが,他者からの働きかけに応じて自己像のマークを触る者が健常児よりも青年期自閉症者に多く見られること。しかも特に一定の発達的特徴をもつ者にみられやすいこと,(2)青年期自閉症者も健常児と同様に,マークのついた自己像を見てとまどいを示す反応をみせるが,そのとまどいを他者に伝達する行動を示しにくいこと,が明らかになった。以上の結果は,生活年齢を重ねた青年期自閉症者の自己認識の特徴や自閉症のコミュニケーションの特徴との関連で考察された。
- 2003-08-15
著者
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