80. Rat小腸粘膜のAlkalineおよびAcid phosphatase活性に対する5-FUの影響

概要

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代謝阻害剤の5-FU投与により大腸粘膜上皮に著しい形態変化を生じ(Milles, etal), 同時に下痢も伴うことから, 小腸粘膜にも何らかの影饗を与えるものと考慮されるので5-FU投与時の空腸粘膜の変化を組織化学的に観察した。成熟雄Donryu rat14匹を2匹ずつの7群に分け, 内8群をcontrolとし残り5群には, 5-FU25mg/kg body weightを1日1回ずつ(1回から5回まで)腹腔に投与し, それぞれの空腸を比較した。5-FUによる形態変化は投与3回目より顕著となり, 腸絨毛の短縮癒合, 粘膜固有層への白血球の浸潤, 上皮細胞核の不整形, ミトコンドリア, rErの著明な増加などの変化がみられる。また4〜5回投与では上皮細胞内に巨大な液胞が出現する。即ち5-FU2回投与までは形態変化は著明でないが, 絨毛上皮のAlp反応およびmacrophageのAcp反応か不安定となる。この傾向は投与回数とともに増強し, 特にAlp反応の減少は著しく, 投与5回目では痕跡的反応となり, Golgi嚢やLysosomeの活性も消失する。このようなAlpの著明な減少は結局吸収障害を示唆するものと思われ, また組織変性による上皮のdesquamationの増加と相俟て下痢の原因となるものと思われる。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20