21. Developmental histochemistry of the egg. : (III) Changes of S(Sulfur) in blastocyst membrane of the rabbit by using XMA.

概要

論文の詳細を見る
演者らは家兎の胞胚被膜を光顕, 電顕, オートラジオグラフイー等で観察し, 卵胞で形成された透明帯と単なる同一物でないことを報告してきた。さらにS-S結合を切断するメルカプトエタノールで処理した結果, 透明帯は溶解するが, 胞胚被膜は不溶で両者の溶解性が著しく異なることも見出した。今回は, 両被膜のS (Sulfur)の含有量をXMAを用いて測定し, stageにより異なるか否かを検討した。方法 : 日本白色白兎を用い, 卵胞卵, 排卵後15〜6日目の未受精, 受精卵について実験した。回収した卵はグルタール単独, あるいは, OsO_4の二重固定後アルコール系列で脱水した。脱水後carbonの上で自然乾燥させた卵とエポン包埋した卵をEPXMA(日本電子JXA50-A型)で分析した。測定条件は分光結晶PET, 15KV, 0.03μAで行った。結果 : 卵胞卵の透明帯のS含量は7.5count/sec。卵管, 子宮から回収した未受精, 受精卵の被膜のS含量はおよそ75count/secであった。従ってS-S結合切断の差異の他に, 卵被膜のムコ蛋白に含まれると思われるSの含有量そのものも, 透明帯よりも胞胚被膜の方が著しく増加していることか確認された。
日本組織細胞化学会の論文
1977-10-20