制癌剤を指標としてみた癌性胸膜腔の透過性
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概要
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癌性胸膜炎患者, 28例を用い, 5-FU, MMC, BLMの各薬剤の胸腔内投与, 静脈内投与時の血液中および胸水中濃度の経時的推移を測定し, 癌性浸潤による胸膜腔の透過性を検討した。これら制癌剤の胸腔内投与時の血液中への移行および血液中内投与時の胸腔内への移行は, 前回発表した動物実験成績と同様に速やかであった。一方, 根治的手術後に癌性胸膜炎の発症をみた乳癌症例, 上大静脈閉塞症候群を合併した癌性胸膜炎症例では, これら制癌剤の移行は明らかに遅れていた。これらの結果より, 胸膜腔への癌性浸潤は, 胸膜腔外の静脈系, リンパ管系を含めた胸膜腔からのdrainage systemの障害がないかぎり, 血液中と胸膜腔の間の制癌剤の移行を障害するものでなく, 胸膜の透過時は正常状態と同様に維持されていることが示唆される。
- 日本肺癌学会の論文
- 1978-06-25
著者
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