縦隔リンパ節転移診断における基礎的研究 : 非小細胞肺癌患者の摘出リンパ節の非転移, 転移リンパ節径の比較

概要

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非小細胞肺癌206例より得られた摘出リンパ節3855個(非転移3695個, 転移160個)の長, 短径を測定した。リンパ節の測定は日本肺癌学会に準じて部位別にHE染色標本(HE標本)を用いて行った。HE標本上のリンパ節の大きさを生体内の大きさに補正する目的で, 別の摘出直後のリンパ節58個の長, 短径を測定してHE標本作成後のそれらと比較して各々の縮小率を求め, 非転移, 転移リンパ節の比較は, これらの補正した径で行った。非転移, 転移リンパ節間には長, 短径とも統計学的有意差を認めた(長, 短径間とも:p<0.001)。大きさによるリンパ節転移診断の基準を得るために部位別に非転移リンパ節の長, 短径の最大標準を求めたところ長径より短径の方がばらつきが少なく, その値は#7で12mm, #1R, 3, 4, 5, 8で10mm, その他は8mmであった。腺癌の転移リンパ節120個の大きさは扁平上皮癌33個のそれよりも有意に小さかった(長径間:p<0.01, 短径間:p<0.005)。また, 腺癌の転移リンパ節の大きさは非転移リンパ節全体のそれよりも有意に大きかった(長径間, 短径間とも:p<0.001)。
日本肺癌学会の論文
1993-08-20