超音波CTに関する二, 三の実験的考察 : 逆投影法と散乱アルゴリズム

概要

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超音波パルスエコー法は, 医用診断や非破壊検査などに広く利用されており, すでに実用の域に達してから久しい。これに対して物体の内部断面を視覚化するための超音波CTの研究も盛んに行われている。本論文は, 超音波CTの可能性を2, 3の実験により考察したものである。画像の再構成には, X線CTで一般に使用されているフィルタード・バックプロジェクション法を採用し, 音線追跡法による超音波の回折の影響を考慮した一補正法を試みる。また, 弱散乱近似を仮定した散乱・回折トモグラフィについても検討している。実験には生体を模すために寒天で作製されたファントムを使用している。音速や減衰量を変化させるために, 寒天にはグリセリンとタングステンを混ぜてある。実験結果は, X線型の超音波CTがX線CTとは異なり散乱・回折の影響で画像に歪が生じるのに対し, 回折トモグラフィはこの点に対しては有効であるが, 短波長領域での位相の検出の難しさなど有効性を引き出すための問題点も指摘した。
社団法人日本音響学会の論文
1996-08-01