等価音響アドミタンスを用いて帯板の音響特性を表したときの音場解析の精度

概要

論文の詳細を見る
本論文は, 板材料など, 拡張作用を示す複雑な壁面材料の音響特性を表すため, 単純支持された有限幅・無限長の弾性板のまわりの音場を例にとって, 等価音響アドミタンス(音場内のある点から材料を見込む音響アドミタンス)をパラメータとして評価を試みたものである。遠方場だけではなく, 帯板に十分近い点から帯板を見込んだ等価音響アドミタンスの計算を行った結果, 等価音響アドミタンスは観測点の距離にはほとんど依存しないことが明らかとなった。また, 帯板を, 帯板から離れた観測点において計算された等価音響アドミタンスを持つ一様な吸音面と仮定したときの音場の推定精度について考察を行った。ある平面波入射角において計算された等価音響アドミタンスを直接用いても, 異なる平面波入射角における音場を, 全体的には良好な精度で推定できることが示された。その一方で, 局所的に推定精度が悪い点も存在することから, 等価音響アドミタンスを用いて音響特性を評価することの限界も明らかとなった。
社団法人日本音響学会の論文
1998-10-01