急性期脊髄損傷患者に対する無菌間歇導尿法の臨床成績

概要

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1979年6月から1989年5月までの10年間に当センターへ入院した269例の急性期脊髄損傷患者を,膀胱過伸展を防ぐプログラムIと意図的に膀胱過伸展を行うプログラムIIに分ける当センター独自の方法により,無菌間歇導尿管理を施行し,その臨床成績について検討した.プログラムIは,将来,経尿導排尿を目指す脊損不全麻痺151例と,集尿器対策の可能な男性頸損完全麻痺36例を対象とし,プログラムIIは,将来,自己導尿が可能となり得るであろう脊損完全麻痺(男性頸損完全麻痺を除く)82例を対象とした.プログラムIでは,187例中137例(73.3%)が経尿道排尿のバランス機能を獲得し,そのうちの61.3%で尿禁制が得られた.プログラムIIでは,82例中62例(75.6%)で目標とした間歇導尿が可能となり,そのうちの67.7%が尿失禁から解放された.Urogram gradeでみると,膀胱合併症のないgrade IがI群で88.0%,II群で87.3%を占めた.上部尿路障害はわずかに1例のみであり,良好な尿路予後が確認された.合併症に対する手術治療を必要としたのは,269例中わずか14例(5.2%)であった.以上より将来的に経尿道排尿をめざす不全麻痺と頸損の男性に対しては,膀胱回復を損わないプログラムI,自己導尿をめざす脊損完全麻痺に対しては,膀胱を意図的に過伸展するプログラムIIで管理すれば,良好な尿路予後と尿失禁のない排尿管理が獲得される可能性が大きいと考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1993-11-20

急性期脊髄損傷患者に対する無菌間歇導尿法の臨床成績

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