膀胱平滑筋細胞内収縮機構の研究 : skinned fiber法による検討
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概要
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膀胱平滑筋における細胞内収縮機構の解明を目的に, 家兎膀胱の細胞膜のみを化学的に破壊した筋線維"skinned fiber"を作製し, 種々の検討を加えた. また少数例ではあるが, ヒト膀胱についても同様の実験を行なった. 膀胱skinned fiberは一定濃度のMg^<2+>, MgATPの存在下に, Ca^<2+>濃度に依存性の収縮を示した. この時のCa^<2+>濃度は細胞外液中に比較し, きわめて低濃度であり, 収縮閾値は2×10^<-7>Mであった. また最大張力は10^<-5>Mで観察された. この最大張力は, 生筋の状態におけるK^+収縮とほぼ同程度であり, SDS-ゲル法における収縮蛋白の分析では, 生筋とskinned fiberとの問に差は認められなかった. skinned fiberのCa^<2+>-sensitivityは収縮液中のMgATP濃度によって変化した. 一方, Ca^<2+>freeの条件下であっても, Mg^<2+>濃度の増加はskinned fiberの静止張力を増大させた. calmodulinは細胞内Ca^<2+>結合蛋白として, 各種の細胞機能発現に深く関与していると考えられているが, calmodulin阻害剤W-7はskinned fiberの収縮を濃度依存性に抑制した. 一定時間Ca^<2+>溶液に浸漬した膀胱skinned fiberは, Ca^<2+>freeのcaffeine溶液の投与によって, 一過性の収縮反応を呈した. これは膀胱平滑筋skinned fiberにおいてもCa-storeが存在することを示す. また10^<-6>M以上のCa^<2+>濃度では, この収縮反応はむしろ減少したことより, "Ca-induced Ca release mechanism"が示唆された.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1990-04-20
著者
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