尿路閉塞腎に及ぼすフロセミドの影響

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フロセミドが尿路閉塞腎にどのように反応するかをみる目的で,犬に2週間の不完全あるいは完全一側尿管閉塞を作製し,フロセミド負荷の腎血流量,腎孟内圧,水,ナトリウム,カリウム代謝に及ぼす影響について検討した.コントロール腎(正常犬の左腎;n=4)の腎血流量は12.9±1.2ml/min/kgで,フロセミド負荷後一過性に約15%増加した.尿量は20分後をピークに平均5ml/minまで増加し,同時に水,ナトリウム,カリウムの尿中排泄率(V/GFR,FENa,FEK)も高値となった.不完全尿管閉塞腎(n=5)の腎血流量は8.4±1.9ml/min/kgとコントロールよりも低値で,フロセミド負荷後一過性に増加の傾向を示した.尿量はフロセミド負荷20分後に平均3ml/minと増加したが,コントロールより低値であった.またV/GFR,FENa,FEKも増加したが,いずれもコントロールに比較すると低値であった.腎孟内圧はフロセミド負荷直後一過性に上昇した.完全尿管閉塞腎(n=5)の腎血流量は3.14±0.38ml/min/kgときわめて低値で,フロセミド負荷後も変動はみられなかった.腎孟内圧はフロセミド負荷後持続性に上昇し,60分後の腎孟尿成分の分析ではV/GFRがやや高値となっていた.尿路閉塞腎ではフロセミドに反応するまでの時間は正常腎と変わらないが,反応には低下がみられる.これは腎血流量の低下を反映したものと考えられた.
社団法人日本泌尿器科学会の論文
1989-11-20

尿路閉塞腎に及ぼすフロセミドの影響

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